Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.277 Zeichen · 21 Bildschirme
燕麦に大豆。それから、に唐もろこし。……それも、水に浸して挽割にし、糠と混ぜて練餌にしてやるのでなければ、てんから受けつけんのでござります」
老人は、夢中になって、人の好さそうな顔を紅潮させながら、
「ああ、じっさい! なんということでござりましょう!……林檎を日に五つずつ。……角砂糖は喰べ放題。……カステラを喰べ散らすやら、蕪大根を噛んで吐き出すやら、なかんずく、人参と来ましたら、一倍と好みがやかましく、ありふれた長人参では啣えてみようともいたしませぬ。ベルギーという白っこい温室できのやつでなければ、お気に召さんのでありまする。……華族さまのお馬といえども、こんな贅沢はいたしますまい。どうにもはや、手のかかるやつなのでござりまする」
そういって、うれしさのあまり、感きわまったように身ぶるいをした。
ああ、この老人は嘘をいっている!
ようやく飼料桶の底が隠れるくらいの乾草に、ひと握りのほどの糠をまぜ、最後のひとつまみまでを指で集めて喰べさせているのを、キャラコさんは、これでもう、十日もまいにち見ているのだ。情けなそうに首をふりながら、この苗木が売れたら、人参を三銭も買ってやるから、ひもじくとももうしばらく我慢をしろ、と判でおしたように同じ言葉でなぐさめることも!