Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.012 Zeichen · 48 Bildschirme
キャラコさんは、梓さんを見つけたら、気軽に誘って連れかえるつもりだったが、このようすを見ると、すぐ思いとまった。誘ったところで、しょせん無駄だとさとったからである。
キャラコさんは、小さなためいきをひとつつくと、山小屋の方へひきかえしながら、祈るように心の中で、いった。
「どうぞ、早く帰って、ちょうだい」
山小屋へ帰ると、夕食の支度ができていて、みなが、梓さんとキャラコさんを待っていた。煖炉のそばへ集まって心配そうな顔をして黙り込んでいた。だれも同じことをかんがえているのだろうが、口に出していうものはなかった。
六時をうつと、キャラコさんはありったけの燭台を持ち出して蝋燭に火をつけて、それをズラリと窓ぎわへ並べ立てた。
山小屋の窓々は、暗い海を照らす灯台のように、明るく、温かくまたたいた。暴風の海へ出た肉親の帰りを待つような真剣な顔つきで、いっしんに窓のそとの物音に耳を立てていた。誰も夕食をするものはなかった。
五人のうちで、陽気なピロちゃんがいちばんしっかりしていて、梓さんがいつも坐る椅子を煖炉のそばへ運んだり、梓さんの上靴を暖めたりして、ひとりで甲斐がいしく働いていた。