Japanische Klassiker mit Furigana
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グースベリーのうれるころ
グースベリーの熟れる頃
宮本 百合子
Lesen Sie グースベリーの熟れる頃 (グースベリーのうれるころ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.041 Zeichen · 12 Bildschirme
仙二は体中の血が凍るかとさえ思えた。だまって一つところを見つめて居て、やがていきなり立ちあがって縁に置いた花の束を取るが早いか大急ぎに走って池のふちに行った。
笑った様な面を見て堤をのぼって初めて娘に声をかけられた処に座った。
火の様な涙をボロボロとこぼしながらコンモリとそろえた花をむしってはすてすてした。
ちぎられた哀れな花は青い水面を色どって下へ下へと、末のわからない旅路について行った。
涙にくもった眼でゆられゆられて居る花を見て居た仙二は一番最後の赤い小さい花を水になげ込んだ時手を延したまんま草の中に顔をうずめた。
草の葉のかげから弱々しい啜りなきの声はいつまでたってもやまなかった。
その日っきり仙二はそと出のきらいな人になったけれ共、月のきれいな時にはきっとわすれられない堤に座って夢の様にあわく美くしい思い出をたどった。
グースベリーの熟れる頃に――
仙二の心はこの一言を思う毎に重く苦しく、そうして微笑えまれるのだった。
グースベリーの熟れる頃に――