Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ココナットのみ

ココナットの実

夢野 久作

Lesen Sie ココナットの実 (ココナットのみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.448 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

狼というのは最前ハラムが云った中川青年のことだった。左翼の左翼の共産党の中でも一等スバシコイあばれ者だと自分で白状していたが、それはハラムの童貞とおんなじにホントウらしかった。青黄色い、骸骨みたいに瘠せこけた青年で、バラバラと乱れかかった髪毛の下から、眼ばかりが薄暗く光っていた。唇だけが紅をつけたように真赤なのもこの青年の特徴だった。

このウルフ青年は妾に、いろんな事を教えてくれた。インキの消し方だの、音を洩らさないピストルの撃ち方だの、台所にある砂糖とか、曹達とかいうものばかりで出来る自然発火装置だの、ドブの中に出来る白い毒石の探し方だの……そんなものは、みんな印度のインターナショナルの連中から伝わったので、共産党の仕事に入り用なものばかりだと云って、得意になって話してくれた。けれどもカンジンの共産党の主義の話になると、ウルフの頭がわるいせいか、まるっきりチンプンカンプンなので困ってしまった。ウルフはただ小器用なのと、感激性が強くて無鉄砲なだけが取り柄の人間らしかった。

「……だから僕は一文も無いのだ。おまけに親ゆずりの肺病だから、生命だってもうイクラもないようなもんだ。