Japanische Klassiker mit Furigana
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ゴルフずいこうき
ゴルフ随行記
寺田 寅彦
Lesen Sie ゴルフ随行記 (ゴルフずいこうき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.490 Zeichen · 7 Bildschirme
早くかえらないと、万一誰かの右傾した球が落ちかかって来れば、この可愛い五つ生命の卵子は同時につぶされそうである。巣は小さな笊のような形をしていて、思いの外に精巧な細工である。これこそ本能的母性愛の生み出した天然の芸術であろう。
荒川が急に逆様に流れ出したと思ったら、コースがいつの間にか百八十度廻転して帰り路になっていた。
キャディが三人、一人はスマートで一人はほがらかな顔をしているがいずれも襟頸の皮膚が渋紙色に見事に染めあげられている。もう一人はなんだか元気がなくて襟頸もあまり焼けていない。どうした訳かと聞いてみるとまだ新米だそうである。まだ新米にさえもならない自分の顔がその日どんなであったかは自分には分らない。疲れはしないかと三人から度々聞かれた。
このキャディのような環境におかれた少年は例えば昔の本郷青木堂の小店員のごとく大概妙に悪ずれがしてくるものであるが、ここの子供達はそんな風が目に立たない。このリンクの御客が概して地味で真面目で威張らない人の多いせいかもしれない。
いつか、このキャディのうちの一人がリンクの池で鮒を一匹つかまえて、ボールを洗う四角な水桶の中に入れておいて、一廻りした後に取りに来たらもう見えなかったそうである。