Japanische Klassiker mit Furigana
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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
Lesen Sie ゴールデン・バット事件 (ゴールデン・バットじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.946 Zeichen · 46 Bildschirme
薬といわれて、私はすこし気がついた。
「よし、考えとくよ」
「考えとくじゃないわよ。早くしないと困るのよ」
「まアいいよ。すこし考えさせろよ」
「あんたお金のことを云っているのネ。すこし位のお金なら、あたしからあげてもいいわ」
「莫迦なことを……」
そういって私は席に戻った。帆村はホープの煙を濛々と立ち昇らせながら、眼をクルクルさせていた。
「どうした」
そこで私は思いがけないチェリーの云いがかりについて、彼に報告した。そのあとに私はつけたして云った。
「薬を盗んだというが、それなら君に云いそうなものじゃないか」
「うん。そりゃ君のことさ。だから僕があのとき袖を引いて注意をしてやったじゃないか」
そこで私は、帆村が袖を引張ったことを思いだした。そうだ、あのとき私は、銀玉に見惚れていた。横に細い溝のある銀玉だった。ああ、そうすると……あの銀玉に薬が入っていたのだ。
その瞬間だった。バラバラと私達の卓子に飛びついて来た人間があった。
「やい泥棒」いきなり卓子越しに顔をつきだした其の男は、なんと丘田医師だったのである。丘田医師には違いないが、日頃の彼の温良なる風貌はなく、髪は逆立ち、顔面は蒼白となり、眼は血走り、ヌッとつき出した細い腕はワナワナと慄えていた。