Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
シナーニしょてんのベンチ
シナーニ書店のベンチ
宮本 百合子
Lesen Sie シナーニ書店のベンチ (シナーニしょてんのベンチ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.387 Zeichen · 15 Bildschirme
厳寒で、全市は真白だ。屋根。屋根。その上のアンテナ。すべて凍って白い。大気は、かっちり燦いて市街をとりかこんだ。モスクワ第一大学の建物は黄色だ。
我々は、古本屋の半地下室から出た。『戦争と平和』の絵入本二冊十五ルーブリ。
大学の壁にビラが貼ってある。各劇場の今週間の番組。曲芸師ケファロの横顔――
ほとんど通り過ぎかけて、私は俄に声を出して云った。「園がある、園が」ビラの一つに、「園」という大活字がたしかに見えた――
「――園? 何さ」
「桜の園じゃない?」
私のロシア語は、一瞬にいくつもの文字を視神経で捕え得るほど、まだ発達してはいないのである。私の日本からの道伴れは、彼女の肩をふってビラの前へ戻って行った。
「本当に――そうだ」
「何処?――大劇場……芸術座じゃあないのね、どうしてだろう」
「これは、特別興行だな。ホラ、たった一日だけ演るんだもの、一時に大勢に観せてしまおうというわけなんだろ」
こんな問答をしている二人の日本女を、皮帽をかぶった少年が傍に立って好奇心を面に表し、眺めている。
私共は芝居広場へ行って見た。我々は久しい前から、このビラの出るのを待っていた。