Japanische Klassiker mit Furigana
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ヂユパンのくせとヴァンスのくせ
ヂユパンの癖とヴァンスの癖
平林 初之輔
Lesen Sie ヂユパンの癖とヴァンスの癖 (ヂユパンのくせとヴァンスのくせ) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.187 Zeichen · 5 Bildschirme
ただ私が思うには、これは、会話のいきぬきである。
煙草でものまなかった日には、彼の小説は論理的分析が次から次へとつづいていってはてしがない。全く数学の書物のようになってしまう。そこでいきぬきに煙草をのませるのである。作者もそれによって文章にくぎりができてきて救われる。じっさい彼の小説では、煙草は、ほんとの煙草をのむのと同じ役割を演じている。
それは彼の小説の中のぜいたく品ではなくて必需品になっている。
ファイロ・ヴァンスも大抵の探偵と同じように何でも知っている頭のよい紳士だが、特に彼の武器として珍しいのは心理学、なかんずく、精神分析学だ。
探偵小説におけるフロイティズムを代表するのである。
アメリカの作家としては彼は暗い方だ。必ずしも彼の小説はハッピー・エンディングとは限らない。探偵のヴァンスも溌剌としたフラッパー〔おてんば娘〕に好かれそうなタイプでもなければ、ホームズやルパン型のジャイアントでもない。
平凡なただの人間である。最近できた『グリーン』や『カナリア』に扮したアクターは、まあはまり役だろう。もっともこのトーキーは二つとも失敗の作だ。