Japanische Klassiker mit Furigana
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トコヨゴヨミ
トコヨゴヨミ
田山 花袋
Lesen Sie トコヨゴヨミ von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.449 Zeichen · 38 Bildschirme
その翌年は、一夏かれは其処から此処へと歩いて行った。幸いにもその年は豊饒で、薬は思ったより売行きがよかった。「思い切って百姓になろう。それが一番好い。自分で耕して自分で食う。世の中では、Socialist と呼ぼうが何うしようが、そんなことは頓着しない。」こう勇吉は幾度となく決心した。しかしその度毎に、かれの体格が鋤犁を取るには不適当なのを考えてかれは躊躇した。かれの体は小柄で、痩せて、力がなかった。「せめて妻位の体があれば――。」こう思って妻の肥えた体を見たことも一度や二度ではなかった。
山路を歩きながら、
「出来る、出来る、小作にさせても出来る。確かに出来る!」
こう発作的に叫んで、路傍の草の上に腰を下して、肩にかけた雑嚢の中から紙片と鉛筆とを出して、急いで数字を書いて計算して見たりした。「そうだ――これが十円、これが二十円、これが五円、確かに出来る、一軒分だけ払下げを願って置いて、それに開墾をさせれば、二年かかれば無論出来る。そうすれば、こんなにして遠い路を歩かなくっても好い。豊饒な土地は何んなにでも生活の道を与えて呉れる。そうだ、そうだ、帰ったら、早速着手しよう。