Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
今から思いますと、あの時からもう、いくらか妙な萌しがありましたようで……。
――若旦那が家へお着きになりますと、すぐにお八代さんに「只今……遅うなりました」と云われましたが、お八代さんが「仙五郎に会いなすったか」と尋ねますと「ハイ。石切場の所で会いました。今そこに帰って来ております」と云うて、うしろから這入って来た私を指示されまして、サッサと離家の方へ行かれました。お八代さんは、それで安心したらしく、私には別に何にも尋ねずに、唯「御苦労」を云うただけで、横の板張に親椀を並べて拭いていたオモヨさんに眼顔で、差図をしますと、オモヨさんは大勢に見られながら、恥かしそうに立上って、若旦那の後から鉄瓶を提げて、離家の方へ行きました。
――それからもう一つ、これは後から訳が判ったように思うので御座いますが、日が暮れるまえにチョット妙な事が御座いました。……私はそれから裏口の梔子の蔭に莚を敷きまして、煙管を啣えながら先刻の蒸籠の繕い残りを綴くっておりましたが、そこから梔子の枝越しに、離家の座敷の内部が真正面に見えますので、見るともなく見ておりますと、若旦那は離家のお座敷の机の前で着物を着換えさっしゃってから、オモヨさんが入れたお茶を飲みながら、何かしらオモヨさんに云い聞かせて御座るようで……硝子雨戸の中ですから声はわかり