Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
而も、それは決して光線の具合でも何でもなかった。黛夫人の腐れ破れた唇から見え透く歯並の美しいところ、臓腑が瓦斯を包んで滑らかに膨れ光っているところまで、細かに注意して見たが、何ともないものは、いくら見ても何ともない。私は人間の神経作用の馬鹿馬鹿しさにスッカリ張り合いが抜けてしまった。
……しかし……と思って尚よく注意してみると、初めの方は紙の地が幾分ボヤケているが、由来記のおしまいの方に近づけば近づく程、紙の表面がスベスベして上光りがしている。これは無理もない話で、最初に筆を執った呉青秀からして、初めの方ほど余計に開いたり捲いたりしたに決っている。又、その後この絵巻物を開いて見た呉家の先祖代々の者も同様で、最初私がした通りに、初めの完全な姿に近い所ほど念を入れて見たわけで、これは人情からいっても止むを得ないであろう……巻物の裏一面に何かキラキラ光る淡褐色の液体を塗ってある上に指の跡みたような白い丸いものが処々附いているようであるが、あまり滑らかでない紙の下から、粗い布目が不規則に浮き出しているのだから、何の痕跡だかハッキリと見分け難い。……結局、私がこの絵巻物から発見したものは、今の上品な香水の匂いだけであった。