Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ニッケルのぶんちん

ニッケルの文鎮

甲賀 三郎

Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

引き受けて、遠回しに話し出すと、奥さんは案外平気なんですって、気丈な方ね。そうしてお米さんに、『旦那さんはかねがねもしもの事があったら、書斎の西北の隅の腰羽目の板を少しズラすと鍵穴があるから、そこを開けると遺言が入っているから開けて見るように』と仰しゃっていたからといって、奥さんは預かってあった鍵をお出しになったのよ。

お役人なんてやっぱりあわてるのね。お米さんが自分が持って行くのは嫌なものだから、鍵をあたしに頼んだんでしょう。あたし仕方がないから書斎に持って行ったの。そうすると検事さんでしょう、痩せこけた上役らしい人がしかつめらしい顔で受け取ってあたしに『西北はどっちですか』と聞くでしょう。あたし達いつでも右左っていってるんですもの。突然に西だの東だのったって、容易に分かりゃしないわ、考え込んでいると、丸顔の肥ったもう一人のお役人が磁石を出しかけたの。ところがそれがズボンの帯革に鎖がからまってなかなかはずれないの。肥っているから自分の腰の所がよく見られないのでしょう。あわてるから反ってなかなかとれないの。検事さんは少しイライラしていたようだわ。