Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.137 Zeichen · 26 Bildschirme
「これは大変なことになった。せっかく公爵と別懇になって、この冬は碧瑠璃海岸にふさわしい快適な生活ができると思ったのに、どうやらあの公爵の脳髄は大分混雑しているようだ。このままのめのめとあの人物の招待に応じていたらわれわれの身辺にまたもや意外な椿事が起こるかもしれない、波瀾万丈は小説家の好むところだろうが、僕は元来、コントラ・バスの修業に仏蘭西へやって来たのだから、平和な生活の方が望ましい。どうだろう、幸い公爵は裏の方へ行ったようだから逃げ出すなら今のうちだと思うけど……」
西洋蘆の繁みの奥の方をキョトキョトと偸視しながら、コン吉がいうと、タヌは一向意に介しないふうで、
「頭の工合が悪いからこそ、こんな海岸へ養生に来たのよ、だいいち、コン吉にしたところが、同じ目的でやって来たのだから、願ってもない良い仲間じゃないこと、もし幸い君の頭が、あのひとの頭より少しでもましなら、せいぜい看病してあげたまえ、それこそ同病相憐れむっていうものよ、なにしろ公爵は、大きな遊艇や、すばらしい競馬馬を持っているそうだから、この冬はずいぶん愉快に暮らせるに違いないわね。ともかく君が何んといってもあの人が話していた『竜の玉』