Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.011 Zeichen · 23 Bildschirme
つまり、虎の耳をつかまえ、ヒラリとその背中に飛び乗るが早いか、この短剣をもって、こう突いて、こうえぐって、その皮は応接間の敷物にするつもりである旨、いろいろと身振りをまぜて説明すると、一同は感にたえたものか、とみに言葉も出ない様子であった。するとその群の中から進み出て来た一人の年配の紳士、ニコニコと笑いながら、
「いや、なかなかお勇ましい事です。私もあのへんまで保安林の切株検査にまいります。お差支えありませんでしたら、どうかお供させて下さい。そう願えれば、私も安心して旅行を続けられるというものです。もっとも私は大して虎を恐れているわけではありません。なにしろ、コルシカ島に虎がいたなんて話はまだ聞いたことがありませんからね。しかし、コルシカには虎より恐ろしいものがおります」
「と、申しますのは」
「コルシカの山地の人間です。非常に排他的でね。とりわけ、官吏やフィリッピン人……、まあ、そういったものをあまり好きじゃないらしいんですね。官吏や東洋人がコルシカの山地を旅行して、無事に帰ったというのはごくまれだという話です」
これを聞くよりその東洋人は、さっきの威勢もどこへやら目玉をすえて急に黙り込んでしまった。