Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.515 Zeichen · 27 Bildschirme
力なく、
「日モナ戦争は日本の敗けだ。われわれが抵当にならぬうちに、どうだろう、タヌ君、もうそろそろ退却しようではないか。僕はもう、城も、遊艇も欲しくない。ニースのホテルへ帰って心おきなく給仕を呼びつけてみたい。それが僕の望みだ」と、半ば慰め顔にこれだけいうと、タヌは激昂の余憤がいまだおさまらぬらしく、
「あたしの望みはね、一〇一号をこのズックの袋に入れて、松の木へ吊して、いやっていうほどお尻を蹴っ飛ばしてやりたい、ってことよ。モナコの征伐はそれからでもいいわ」と、しきりに甲声をあげているその背中を、ポンとたたくものがある。振り返ってみると、そこに立っていたのは、白い医務服を着たモンド公爵。
二人はそれを見るより、左右から腕をとって、
「うわア、モンド公爵」
「ま、どうしてここへ!」と、口々にたずねると、モンド公爵は、意味不明瞭な微かな微笑をもらしながら、
「あはあ、ちょっと散歩」と、軽くうなずいてみせた。
「でも、侍従長がよく外出させましたね」
「彼奴、椅子にゆわえつけられていました。この白いのが……」と、医務服の裾をつまんでみせ、「彼奴の式服です。わたくしがこれを着ていると、やはり侍従長ぐらいには見えるでしょう。