Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.515 Zeichen · 27 Bildschirme
ことに今度は、相手が賭球盤だからどんなことになるかわかりゃしない。どうせ、まともなわれわれがやったって勝てないのに、どうしてまともでない公爵の勝つわけがあるものか。僕なら、早く帰って、またマカロニでも喰べてひっくり返ってる方がましだ」というと、タヌは、
「でもね、コン吉、どうせ賭球盤だって狂人でしょう。公爵も、ま、それに近いわけね。だからこの二つを組合わせると、ことによったらことによるかも知れない、と思うのよ。どうせここに持ってるのは千法とちょっとよ。さっき皆負けてしまったことにすれば、これで公爵の珍技を拝見するのも悪くないわね。万一、ひょっとしてあの公爵が勝ったら、賭球盤よ、大きなことをいうな! だわ」
公爵は二人が賭博室へ入って来るのを待ちかねて、
「あなたがたの負けたのはどの卓ですか」とたずねた。コン吉が食堂に近い No. 6 の卓を指し示すと、公爵は、玉廻し役の隣りの椅子にムズとばかりに坐りながら、
「ひとつ総仕舞にして、花を飾らしてやらなければならん」
公爵は天井を仰ぎ、人々の顔を眺め、悠然と、あちらこちら見廻していたが、やがて、窓越しに見える巴里珈琲店の屋根にとまっている鳩を一羽、二羽……と数え始めた。