Japanische Klassiker mit Furigana
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パルチザン・ウォルコフ
パルチザン・ウォルコフ
黒島 伝治
Lesen Sie パルチザン・ウォルコフ von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.366 Zeichen · 31 Bildschirme
彼等は、常に慾情に飢え、金のない、かつかつの生活を送っていた。だから、自分に欠けているものがほしくてたまらなかった。そこの消息を見抜いている×××は、表面やかましく云いながら、実は大目に見のがした。五十銭銀貨を一つ盗んでも禁固を喰う。償勤兵とならなければならない。それが内地に於ける軍人である。軍人は清廉潔白でなければならない。ところが、その約束が、ここでは解放されているのだ。兵士は、その××に引っかかって、ほしいものが得たさに勇敢に、捨身になるのだった。
「前島、その耳輪を俺によこしとけよ。」
兵士は命令を待っている間に、今さっき百姓小屋で取ってきた獲物を、今度はお互いに、口でだまして奪い合った。
「いやですよ、軍曹殿。」
「俺のナイフと交換しようか。」
ほかの声が云った。
「いやだよ。そんなもの十銭の値打もすりゃせんじゃないか。」
「馬鹿! 片ッ方だけの耳輪にどれだけの値打があるんだ!」
斜丘の中ほどに壊れかけた小屋があった。そこで通訳が向うからやって来た百姓の一人に何か口をきいているのが栗本の眼に映じた。その側に中隊長と中尉とが立っていた。顔が黒く日に焦げて皺がよっている百姓の嗄れた量のある声が何か答えているのがこっちまで聞えてきた。