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Japanische Klassiker mit Furigana

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ヒルミふじんのれいぞうかばん

ヒルミ夫人の冷蔵鞄

海野 十三

Lesen Sie ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (ヒルミふじんのれいぞうかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.412 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

或る靄のふかい朝――

僕はカメラを頸にかけて、幅のひろい高橋のたもとに立っていた。

朝靄のなかに、見上げるような高橋が、女の胸のようなゆるやかな曲線を描いて、眼界を区切っていた。組たてられた鉄橋のビームは、じっとりと水滴に濡れていた。橋を越えた彼方には、同じ形をした倉庫の灰色の壁が無言のまま向きあっていたが、途中から靄のなかに融けこんで、いつものようにその遠い端までは見えない。

気象台の予報はうまくあたった。暁方にはかなり濃い靄がたちこめましょう――と、アナウンサーはいったが、そのとおりだ。

朝靄のなかから靴音がして、霜ふりとカーキー色の職工服が三々五々現れては、また靄のなかに消えてゆく。僕はそういう構図で写真を撮りたいばかりに、こんなに早く橋のたもとに立っているのである。

レンズ・カバーをとって、焦点硝子の上に落ちる映像にしきりにレバーを動かせていると、誰か僕のうしろにソッと忍びよった者のあるのを意識した。だが――

焦点硝子の上には、橋の向うから突然現れた一台の自動車がうつった。緩々とこっちへ走ってくる。それが実に奇妙な形だった。低いボデーの上に黒い西洋棺桶のようなものが載っている。