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Japanische Klassiker mit Furigana

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ピンカンウーリのアマ

ピンカンウーリの阿媽

豊島 与志雄

Lesen Sie ピンカンウーリの阿媽 (ピンカンウーリのアマ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.499 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

別れの言葉を阿媽さんになにか言ったか、どういう風に別れたか、それも殆んど覚えていない。ただ、も一度握手をしたらしい。油を塗ったような彼女の手の感触が、あとまで私の掌に残っていたのである。

彼女にはそれきり逢わない。逢う機会もありそうにない。第一、彼女はあのままでいるのか、あれからどうしたのか、生死のほども分らないのだ。

けれども、へんなところで、私は彼女に逢うことがある。

先般、旅行中に、したたか酒に酔い、女たちとも戯れていた際、席にいた一人の女性に、私はピンカンウーリの阿媽さんを見た。年はずっと若く、容姿は可なり劣るが、全体の感じが彼女によく似ていた。私はそのひとを見ているうちに、心平らに気なごやかになって、まずい唄なんか口ずさみながら、安らかな眠りにはいった。もしそのひとがいなかったらつまらない不行跡をしたかも知れない。この場合にも、彼女は私にとって、愛欲からの護符だった。

それよりも、もっと不思議なことがある。

或る深夜、私は酒に酔って、ふらふらと帰路についたが、自宅の近所になって、突然、方向が分らなくなってしまった。真直に行くのか、右へ曲るのか、左へ曲るのか、全然分らないのである。