Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
それによく風邪をひいて、くしゃみをしたり、涕を垂らしたりした。それ故、家の者は皆、彼女をひどく嫌った。それがまた彼には、猫をいとおしく思わせる一つの理由になるのである。彼が学校から帰る時分には、黒猫はいつも犬のように門の所に出迎えて待っていた。彼が抱上げると、彼女は、寒天質の中に植物の種子を入れたような、草入水晶に似た瞳をむけて、甘えた声で訴えるのであった。
ある日、三造が妹と女中とで夕飯をたべていると、父と新しい母とが外から帰ってきた。彼等は一緒に何か物を見に行って、帰りに飯もすませて来たといった。それを聞きながら、彼は妙に気持がとがって来るのを感じた。何故妹を連れて行ってやらないんだ、と、彼は妹を愛していなかったにも係わらず、とっさにそう思った。明かに嫉妬であると彼は自分でも気がつき、気がついただけ余計に腹が立った。彼等はみやげだといって蒲焼のおりを三造に与えた。それがまた理由もなく彼の気持に反撥した。彼は苦い顔をして一口それを喰べた。それから、その残りを卓子の下にいた猫に与えた。突然、父が黙って立ち上った。そして咽喉を鳴らしながら喰べている猫を蹴とばし、三造の着物の襟を左手でつかむと、右手で続けざまに彼の頭を三つ四つ殴った。