Japanische Klassiker mit Furigana
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ボニンとうものがたり
ボニン島物語
久生 十蘭
Lesen Sie ボニン島物語 (ボニンとうものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.772 Zeichen · 41 Bildschirme
先祖代々、南部領の飢饉の貧困の中に生きつづけたせいで、話といえば、つい貧窮問答に落ちてしまうのである。
「これも利幹公の代だが、こんなこともあった」と久太夫がつづけた。
「江戸参覲の折、野州、阿久津の鬼怒川が出水して川止めになり、宇都宮へ戻って、四日あまり滞在なさったが、旅費を使い果され、川は開いたが、渡りもならない。福島に使いをやって島田という商人から金を借り、それで、やっと安堵なすったが、その金というのは、わずか二十五両ということであった」
駒三郎がいった。
「利視公の代だった。御用金、御繰合金、分限金と、さまざまな名目でお取りあげになったすえ、領内の農民から、寸志として一人一ヵ月二十文ずつ上納させたことがあった。それから、一坪につき二文の割合で坪役銭というのをとりこんだ。そのお蔭で、おれの大祖父は城下の商人に憎まれ、天明三年の大飢饉のとき、米を集める道をふさがれ、進退窮して森で縊れて死んだ」
久太夫はうなずきながらいった。
「おぬしの大祖父のことを忘れていた。死にざまもいろいろだが、頭取ともあろう方が、縊れて死ぬは、よくよくのことであったのだろう」