Japanische Klassiker mit Furigana
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ラジオざっかん
ラジオ雑感
寺田 寅彦
Lesen Sie ラジオ雑感 (ラジオざっかん) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.067 Zeichen · 11 Bildschirme
正宗を砥ぎにやったのをなまくらにして返して、これでも切れると云って平気でいるのは、少しおかしいと云わなければならない。
理科の学問をしているのに、どうして自分でラジオ機械を修繕しないのかと聞かれることがある。なるほど電磁気学理論の初歩も知らない素人で非常にラジオ通があるのに、三十年来この方面の学問に関係し、しかもそれで生活して来ている人間が、宅のラジオくらいを直すのに、一々ラジオ屋さんの御苦労を願うというのは自分ながら妙なことであると思われなくはない。紺屋の白袴とでもいうのか、元来心掛けの悪いためか、それとも不精なのか、おそらくそれのすべてであろう。しかし一体に科学の研究を生涯の仕事にしている者のためには、出来てしまっているものには興味がなくてまだ出来ないものにのみ興味を引かれる。そうして出来ていないものがあまりに多い。ラジオの修繕までは手が届きかねるという人は自分のみならず他にもおそらく多いであろうと思われる。
ここまで書いた時に宅のラジオが鳴り出して、バッハのト短調、チェンバロ・コンチェルトというのを聞かせてくれた。いつ聞いても心持の悪くないものはこういう古典的な音楽である。