Japanische Klassiker mit Furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme
(少年機の傍に行き、触り見る。)
少年 冷たい機!
(再び姉の傍に来て顔を見上ぐ。水の音聞こゆ)
少年 お姉様、外には何があるの。恐ろしい水音が聞こえてよ。
女子 あれはね、暗い水門へ流れ入る水の音です……その水門へ流れ込む水は、二度と再び明るい世界へ出られないんですよ。
少年 その水門はどこにあるの?
女子 このお室の外。
(塔を吹く風の音聞こゆ)
少年 (耳を澄まし)お姉様、風が吹いているね。
女子 塔を風が吹いています。
少年 塔?
女子 水門の上にはね、高い塔があるんですよ。その塔の中にはね……いやいや……何も教えまい。(と急に思い返して黙す)
少年 (姉の顔を熱心に視て)お姉様!
女子 (無音にてヨハナーンを見る)
少年 (熱心に)塔?
女子 いいえ、何もありません。
少年 お姉様! 塔?
女子 いいえ、あの音は水門を吹く風の音です。
少年 その水門の上の塔?
(女子立ち上がり、窓より塔をすかし見る、塔に月光さす)
女子 夜になった、青ざめた光が塔の頂きに流れている。……いいえ、外には何もありません。(と身を以て窓を蔽い)ヨハナーンや。
少年 お姉様。
女子 (淋しげに)ね、もう風も吹かないでしょう。