Japanische Klassiker mit Furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme
少年の美しさは何と云って形容したらいいでしょう。猶太の王女が恋したと云う、ヨハネの幼顔よりも美しく、ラハエルよりも美しい。ギリシヤの彫刻の裸体美でも、少年の美には及びません。この少年が「死に行く人魚の歌」を歌います。けれども恋の競技の音楽堂で歌ったのではありません。たれこめた自分の室で、つれない女子に物を思わせようと、又血汐のような罌粟畑で、銀の呪詛をのがれんと、競技の前の夜の半ばに、歌ったのでござります。噫! その「死に行く人魚」の歌は、世にも悲しい弔いの歌となりました。
婚儀の式場とも成るべき音楽堂からは葬式の柩が出で、つがいの鴛鴦の浮くべき海の上には、柩をのせた小舟が浮かび、嘆きの歌を唄わんとして集った小供等は、曇った声で弔いの歌を唄います。祝して鳴らさるる筈の鐘は凶事を伝え、諸国より集りし騎士音楽家は、驚きと怒りと悲しみとを、不思議を見たる瞳に充たせ、ものも云わずに柩を送ります。そして月桂樹の冠はFなる魔法使いの頭に落ち、Fなる魔法使いは、その名誉ある冠を以て、空想の少女を眩さんとし、猩々緋の舌を動かします。――しかも凶は正に敗け、最後の勝利は公子に帰して、月桂樹は幼い天才に渡ります。