Japanische Klassiker mit Furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme
夜。先夜の如く月明らかなり。
女子は寝台に腰をかけ体を斜にして音楽堂を眺む。使女ABの二人はその左右に立ち、同じく音楽堂を眺む。静。――館内の人々は皆、音楽堂に出で行ける後)
使女A 空が水銀のように晴れて、滴が垂れそうな晩でございますね。(間)ごらん遊ばせ、お月様が空のまん中を軽々と歩いていらっしゃります。お月様の通る道には雲が金色の縁をつけております。風が渡ると見えて、その雲は千切れたり集ったり致します。そして皆んな音楽堂の丸家根をめがけて押し寄せて参ります。(笑う)おしかけ婿様のような雲でございます。
女子 そのように、騒いではいけぬじゃないかえ。今夜はそんな晩ではありません。(間)ほんにお月様は空のまん中を歩いていらっしゃるが、その御様子が大変心配ごとでもおありなされるように見えるじゃないか、そして私にはいつもより大そう形が大きく見える、そして光が青く見える、そして顫えておいでのように見えるぞえ。雲の間をお通りなさる時は、忍びやかに恐ろしそうに、丁度暗殺者の群の中を及び腰で通って行くようだ。お月様の周囲を取りかこんでいる雲は、平常の夜とは違って形が怪しく見えるじゃないか。