Japanische Klassiker mit Furigana
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ロンドンせんきゅうひゃくにじゅうくねん
ロンドン一九二九年
宮本 百合子
Lesen Sie ロンドン一九二九年 (ロンドンせんきゅうひゃくにじゅうくねん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.789 Zeichen · 62 Bildschirme
――持ってるって云ってやしねえ。だが、俺にゃペニー不足におっつけて手前あくるみ食ってやがる。ペッ!
白手袋の巡査がびっくりして振向く夕刊売子の腹にビラが下ってる。「又々大胆不敵なる強盗現る※(感嘆符二つ、1-8-75)」こんなのもある。列になって失業者が立っている。「失業者相談掛」札の下った机の前だ。ひしゃげた山高帽の失業者がだぶだぶズボンに片手を突込んだなりその机に肱をついて
――ねえ、旦那。あっしゃもうこれで一年以上お情金で食って来たんだがその方の昇給って奴はねえもんかね?
こういうエハガキを売るビショップ町ではキャベジ一つ一ペンスである。二三ペンスで茶色に乾いた燻製魚が一匹食える。調子っぱずれなラッパの音がした。よごれくさった白黒縞ののれんの奥だ。看板に「火酒」。臓物屋の店先で女子供が押し合った。
ピカデリー広場行の乗合自動車はかなくそでつまったような黒いロンドンを一方から走って来てビショップ町の出入口から心配げな顔つきをした僅の男女をしゃくい上げた。そして再び場末のごたごた中に驀進した。
デパアトメント・ストアだ。家具大売出し! 十八ヵ月月賦!