Japanische Klassiker mit Furigana
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ヴァリエテ
ヴァリエテ
宮本 百合子
Lesen Sie ヴァリエテ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.156 Zeichen · 11 Bildschirme
楓はその方に気をとられ、佳一のいったことには返事しなかった。
女中が、
「では、ちょっとお待ち下さいまし」
と小走りに台所口へ廻る。それにかまわず、佳一は、楓を先に立てて庭へ入って行った。あまり広くない地面に芝を植え、棕梠の青い葉が、西洋間の窓近くさし出ている。窓は開いて、ピアノの途切れ途切れの音がした。
「おかあちゃま、ただいまア!」
楓は、サンダルのつま先立って、窓の内を見上げ、芝生から叫んだ。
「おかえんなさい」
佳一は黙って楓の体を窓の高さまでさし上げてやった。楓は両手を振廻して喜んだ。
「ワー、見てよ、見てよ、おかあちゃま」
「あら!」
桃色のかげにある佳一を見つけ、絹子は、いささかきまりの悪いような顔でピアノの前から立って来た。
「いらっしゃい。ちっとも知らなかったわ、いやあね、いきなりそんなところからお覗きんなったりして、さ、どうぞ」
窓枠へあちら向きに楓をのせたまま、佳一は、傍のイタリー風の大硝子扉から室内へ入った。
「暫く」
「本当に暫くね、お姉さまの方もお変りなくて? 私どこへもすっかり失礼しちゃっているのよこの頃」
「相変らずでしょう。僕もこないだうちちょっと忙しかったんで行きませんけど」