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Japanische Klassiker mit Furigana

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いっせきわ

一夕話

芥川 竜之介

Lesen Sie 一夕話 (いっせきわ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.921 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

埋まらない役まわりは僕一人さ。――」

「なるほど、これは珍談だな。――おい、君、こうなればもう今夜の会費は、そっくり君に持って貰うぜ。」

飯沼は大きい魚翅の鉢へ、銀の匙を突きこみながら、隣にいる和田をふり返った。

「莫迦な。あの女は友だちの囲いものなんだ。」

和田は両肘をついたまま、ぶっきらぼうにいい放った。彼の顔は見渡した所、一座の誰よりも日に焼けている。目鼻立ちも甚だ都会じみていない。その上五分刈りに刈りこんだ頭は、ほとんど岩石のように丈夫そうである。彼は昔ある対校試合に、左の臂を挫きながら、五人までも敵を投げた事があった。――そういう往年の豪傑ぶりは、黒い背広に縞のズボンという、当世流行のなりはしていても、どこかにありありと残っている。

「飯沼! 君の囲い者じゃないか?」

藤井は額越しに相手を見ると、にやりと酔った人の微笑を洩らした。

「そうかも知れない。」

飯沼は冷然と受け流してから、もう一度和田をふり返った。

「誰だい、その友だちというのは?」

「若槻という実業家だが、――この中でも誰か知っていはしないか? 慶応か何か卒業してから、今じゃ自分の銀行へ出ている、年配も我々と同じくらいの男だ。