Japanische Klassiker mit Furigana
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いったとはは
一太と母
宮本 百合子
Lesen Sie 一太と母 (いったとはは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.507 Zeichen · 21 Bildschirme
一太は納豆を売って歩いた。一太は朝電車に乗って池の端あたりまで行った。芸者達が起きる時分で、一太が大きな声で、
「ナットナットー」
と呼んで歩くと、
「ちょいと、納豆やさん」
とよび止められた。格子の中から、赤い襟をかけ白粉をつけた一太より少し位大きい女の子が出て来る、そういうとき、その女の子も黙ってお金を出すし、一太も黙って納豆の藁づとと辛子を渡す、二人の子供に日がポカポカあたった。
家によって、大人の女が出て来た。
「おやこの納豆やさん、こないだの子だね」
などと云うことがあった。
「お前さん毎日廻って来るの」
「うん大抵」
「家どこ?」
「千住。大橋のあっち側」
「遠いんだねえ。歩いて来るの?」
「いいえ、電車にのって来る」
たまに、
「ちょっとまあ腰でもかけといき、くたびれちゃうわね、まだちっちゃいんだもの」
などと云われることもなくはなかった。そんなとき一太の竹籠にはたった二三本の納豆の藁づとと辛子壺が転っているばかりだ。家にいるのは女ばかりで、長火鉢の前で長煙管で煙草をふかしている一太の母位の女や、新聞を畳にひろげて、読みながら髪を梳いている若い女や、何だかごちゃごちゃして賑やかな部屋の様子を一太は珍しそうに見廻った。