Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Lesen Sie 一足お先に (ひとあしおさきに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.200 Zeichen · 79 Bildschirme
だから私は温柔しく体温器を受け取って腋の下に挟んだ。
「こっちには寄こさないのかね」
と横合いから青木が頓狂な声を出した。すると出て行きかけた看護婦がツンとしたまま振り返った。
「熱があるのですか」
「大いにあるんです。ベラ棒に高い熱が……」
「風邪でも引いたんですか」
「お気の毒様……あなたに惚れたんです。おかげで死ぬくらい熱が……」
「タント馬鹿になさい」
「アハハハハハハハハ」
看護婦は怒った身ぶりをして出て行きかけた。
「……オットオット……チョットチョット。チョチョチョチョチョチョット……」
「ウルサイわねえ。何ですか。尿器ですか」
「イヤ。尿瓶ぐらいの事なら、自分で都合が出来るんですが……エエ。その何です。チョットお伺いしたいことがあるんです」
「イヤに御丁寧ね……何ですか」
「イヤ。別に何てこともないんですが……あの……向うの特別室ですね」
「ハア……舶来の飛び切りのリネンのカーテンが掛かって、何十円もするチューリップの鉢が、幾つも並んでいるのが不思議と仰有るのでしょう」
「……そ……その通りその通り……千里眼千里眼……尤もチューリップはここから見えませんがね。