Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとあしおさきに

一足お先に

夢野 久作

Lesen Sie 一足お先に (ひとあしおさきに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.200 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

ている。ムッチリした大きな身体に、薄光りする青地の長襦袢を巻き付けているのが、ちょうど全身に黥をしているようで、気味のわるいほど蠱惑的に見えた。

その姿を見返りつつ私は電球の下に進み寄って、絹房の付いた黒い紐を引いた。同時に室の中が眩しいほど蒼白くなったが、私はチットも心配しなかった。病室の中が夜中に明るくなるのは決して珍らしい事ではないので、窓の外から人が見ていても、決して怪しまれる気遣いは無いと思ったからである。

私はそのまま片足で老女の寝床を飛び越して、男爵未亡人の藁布団に凭たれかかりながら、横坐りに坐り込んだ。胸の上に置かれた羽根布団と離被架とを、静かに片わきへ引き除けて、寝顔をジイッと覗き込んだ。

麻酔のために頬と唇が白味がかっているとはいえ、電燈の光りにマトモに照し出されたその眼鼻立ち、青い絹に包まれているその肉体の豊麗さは何にたとえようもない。正にあたたかい柔かい、スヤスヤと呼吸する白大理石の名彫刻である。ラテン型の輪廓美と、ジュー型の脂肪美と併せ備えた肉体美である。限り無い精力と、巨万の富と、行き届いた化粧法とに飽満した、百パーセントの魅惑そのものの寝姿である……ことに、その腮から頸すじへかけた肉線の水々しいこと……。