Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まんのし

万の死

小川 未明

Lesen Sie 万の死 (まんのし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.457 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

万は、娘が身を投げて死んだという川にかかる橋を渡るときは、かならず立ちどまって、欄干によりかかり、じっと水を見て、考えるのであります。あるときは、寒い風が、すすり泣くように、川面を吹いているのでした。また、夏の晩方には、赤い雲が、さながら血を流すようにうつっていることもありました。彼は、母から聞いた、おつるさんという不幸な娘のことを思い出したのでしょう。

「なにより、命が大事なんじゃないか。死ななければよかったのに。だが、おれは、まだ小さくて、なんにもできなかったのだ。」と、ひとりごとをするのでした。

このとき、彼が、どんなことを考えていたか、だれも知るものはありません。生まれつき、無口の万は、思ったこと、考えたことを、めったに、他に話しません。役場へ勤めてからも、まじめ一方に働くばかりでした。しかし、なにか、うまいものが彼の手に入ると、だれの前もはばからず、きっと、

「こんなものを、母さんに食べさせてやりたかったなあ。」と、いうのでした。そして、ところを忘れて、母子が、さびしくまずしく暮らしたころのことを目に浮かべるのでした。また、なにかおもしろいもよおしでもあるときは、