Japanische Klassiker mit Furigana
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おもと
万年青
矢田 津世子
Lesen Sie 万年青 (おもと) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.043 Zeichen · 13 Bildschirme
この隠居は、本家の先代の連合いで、福子の良人には祖母にあたる人だった。七十六になっていたが、少し耳が遠いだけで、まだ元気で家の中のことを何かとおさえていた。先代が築きあげた産を守って、時代に添って生かしているのも、この隠居の力だった。当主の、福子の良人には父にあたるその人は、温厚一途が取り柄で、仕事の上のことでは、まだまだ隠居の差し図の下にいた。
「隠居さんが采配を振っている間はいいが、今にいなくなったら博士も困ることだろう。」
親類の間では、当主はこんな冷やかし言葉で呼ばれていた。読書好きな人で、暇さえあれば居間にこもって書物を読んだり書き物をしたりしている。利殖の道には疎い人だと、誰でもが言っていた。
本家は、大家族で、隠居を頭に、当主夫婦、跡継ぎの孫夫婦に子供たち、それに嫁入り前の孫娘たちに召使を入れると二十人からの賑やかさだった。このほかに、別に家を持っている孫達がいたが、福子の良人もその一人で、結婚してまだ一年もたっていなかった。
本家の柱になっている隠居は、みんなから大事にされて、「おばあさま、おばあさま」と、なかなかの人気である。別暮しをしている孫嫁たちも入れかわり立ちかわり訪ねては、隠居に優しく、真心から尽そうとする。