Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのひふん
三つの悲憤
豊島 与志雄
Lesen Sie 三つの悲憤 (みっつのひふん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.748 Zeichen · 18 Bildschirme
「ああ、お嬢さん、よく来て下さいました、よく来て下さいました。私は毎日、毎夜、ここにこうして、あなたをお待ちしておりました。」
けれど、何の返事もありませんでした。素英は一足とびしざって、棒のようにつっ立ち、じっと阮東を見すえてるきりでした。
阮東は涙声で訴えました。
「私はもう、あなたと離れては生きてゆけません。あなたと一緒なら、死んでもかまいません。死んで下さい、一緒に死んで下さい。」
凍りついたような素英の眉が、ぴくりと動きました。そして風のようなすげない声がしました。
「そこをどいて下さい。私は髪にさすために、李の花を取りに来たのです。」
「おお、李の花……。」と阮東は叫びました。「あなたの髪のために、私に取らして下さい。一番美しい花を……蕾から咲きだしたばかりで、まだ蜂も虻もとまったことのない綺麗な花を、私が取ってあげます。」
「いけません。」と風のようにすげない声がいいました。
「私はあなたとお話することを、母から厳重にとめられております。あなたに御用をたのむことを、父から厳重にとめられております。こうしてお目にかかるのも、私は、心が咎めてなりません。