Japanische Klassiker mit Furigana
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さんしろう
三四郎
Lesen Sie 三四郎 (さんしろう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.765 Zeichen · 343 Bildschirme
女は黙っている。やがて川の流れから目を上げて、三四郎を見た。二重瞼にはっきりと張りがあった。三四郎はその目つきでなかば安心した。
「ありがとう。だいぶよくなりました」と言う。
「休みましょうか」
「ええ」
「もう少し歩けますか」
「ええ」
「歩ければ、もう少しお歩きなさい。ここはきたない。あすこまで行くと、ちょうど休むにいい場所があるから」
「ええ」
一丁ばかり来た。また橋がある。一尺に足らない古板を造作なく渡した上を、三四郎は大またに歩いた。女もつづいて通った。待ち合わせた三四郎の目には、女の足が常の大地を踏むと同じように軽くみえた。この女はすなおな足をまっすぐに前へ運ぶ。わざと女らしく甘えた歩き方をしない。したがってむやみにこっちから手を貸すわけにはいかない。
向こうに藁屋根がある。屋根の下が一面に赤い。近寄って見ると、唐辛子を干したのであった。女はこの赤いものが、唐辛子であると見分けのつくところまで来て留まった。
「美しいこと」と言いながら、草の上に腰をおろした。草は小川の縁にわずかな幅をはえているのみである。それすら夏の半ばのように青くはない。美禰子は派手な着物のよごれるのをまるで苦にしていない。