Japanische Klassiker mit Furigana
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さんしろう
三四郎
Lesen Sie 三四郎 (さんしろう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.765 Zeichen · 343 Bildschirme
ところへ汽車がごうと鳴って孟宗藪のすぐ下を通った。根太のぐあいか、土質のせいか座敷が少し震えるようである。
三四郎は看病をやめて、座敷を見回した。いかさま古い建物と思われて、柱に寂がある。その代り唐紙の立てつけが悪い。天井はまっ黒だ。ランプばかりが当世に光っている。野々宮君のような新式の学者が、もの好きにこんな家を借りて、封建時代の孟宗藪を見て暮らすのと同格である。もの好きならば当人の随意だが、もし必要にせまられて、郊外にみずからを放逐したとすると、はなはだ気の毒である。聞くところによると、あれだけの学者で、月にたった五十五円しか、大学からもらっていないそうだ。だからやむをえず私立学校へ教えにゆくのだろう。それで妹に入院されてはたまるまい。大久保へ越したのも、あるいはそんな経済上のつごうかもしれない。……
宵の口ではあるが、場所が場所だけにしんとしている。庭の先で虫の音がする。ひとりですわっていると、さみしい秋の初めである。その時遠い所でだれか、
「ああああ、もう少しの間だ」
と言う声がした。方角は家の裏手のようにも思えるが、遠いのでしっかりとはわからなかった。