Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
さてこれからがお話の本文で、この喜路太夫の身のうえに一大事件が出来したのです。
三
まえにも申上げた通り、天保初年の三月末のことだそうです。芝の高輪の川与という料理茶屋で清元の連中のお浚いがありました。今日とちがって、江戸時代の高輪は東海道の出入口というのでなか/\繁昌したものです。殊に御殿山のお花見が大層賑いました。お浚いは昼の八つ(午後二時)頃から夜にかけて催されることになって、大きい桜のさいている茶屋の門口に、太夫の連名を筆太にかいた立看板が出ているのを見ると、そのうちに桐畑の喜路太夫の名も麗々しく出ていました。
このお浚いは昼のうちから大層な景気で、茶屋の座敷には一杯の人が押掛けています。日がくれると門口には紅い提灯をつける。内ばかりでなく、表にも大勢の人が立っている。そこへ通りかゝった七八人連の男は、どれも町人や職人風で、御殿山の花見帰りらしく、真紅に酔った顔をしてよろけながらこの茶屋のまえに来かゝりました。
「やあ、こゝに清元の浚いがある。馬鹿に景気がいゝぜ。」
立ちどまって立看板をよんでいるうちに、その一人が云いました。