Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
「奥様のところへ来るんじゃありませんか。」と、お朝は口のうちで云いました。
「そりゃあたりまえさ。可いじゃありませんか。」と、わたくしは又笑いました。わたくしは朝から無暗に笑いたくって仕様がないので、お朝をその相手にしようと思って、さっきから色々に誘いかけるのですが、お朝はどうしても口脣を解しませんでした。わたくしが笑えば笑うほど、お朝の顔はだん/\に陰って来て、碌々に返事もしませんでした。
「今夜は四つ(午後十時)を相図に、照之助はお庭の木戸口へ忍んで来るから、木戸をあけてすぐに奥へ連れて行くんでよ。よござんすか。」と、わたくしは低い声で話しました。
「わたしは気分が悪くっていけないから、今夜の御用は勤められないかも知れません。お前さん、何分たのみます。」と、お朝は元気のない声で云いました。
気分が悪いと云うのですからどうも仕方がありません。わたくしもよんどころなしに黙ってしまいました。秋の日は短いと云いますけれども、きょうの一日はなか/\暮れませんので、わたくしは起ったり居たりして、日のくれるのを待っていました。どうも自分の部屋にじっと落着いていられないので、わたくしはお庭口から裏手の方へふら/\出て行きますと、うら手の井戸のそばにお朝がぼんやりと立っていました。