Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
「久ちゃんは男だから仕方もないが、せめておつねちゃんだけは家にいるようにして遣りたいものだ。」と、近所でも噂をしていました。
おふくろも然う思わないではなかったでしょうが、おつねを奉公に出して置けば、一人口が減った上に一年幾らかの給金が貰える。なにを云うにも苦しい世帯ですから、親子がめでたく寄合う行末を楽みに、まあ/\我慢しているというわけでした。どの人も勿論そうでしょうが、取分けてこの親子三人は「行末」という望みのためばかりに生きているようなものだったのです。
ところが、神も仏も見そなわさずに、この親子の身のうえに悲しい破滅が起ったのです。その第一はおふくろが病気になったことで、おふくろはまだ三十八、ふだんから至極丈夫な質だったのですが、安政二年、おつねが十七、久松が十四という年の春から不図煩いついて、三月頃にはもう枕もあがらないような大病人になってしまいました。姉弟の心配は云うまでもありません。おつねは主人に訳を話して、無理に暇を貰って帰って、一生懸命に看病する。久松も近所のことですから、朝に晩に見舞にくる。長屋の人たちも同情して、共々に面倒を見てくれたのですが、おふくろの容態はいよ/\悪くなるばかりです。