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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな風に云っているのが、歔欷くような声に混って、断片的に洩れて来るのであった。そして、西谷は、極端にその人形を懐かしみ、滅茶苦茶に愛撫しているようであった。

日が経つにつれ、西谷の愛撫は、次第に極端になって来た。西谷は二階で、殆んど終日、人形と暮していた。凝っと人形の顔を視詰め続けているようなこともあり、又何かと語りかけているようなこともあれば、何うかすると一緒に寝ているようなこともあるらしかった。私は、一切干渉しないようにして、西谷が二階で人形と一緒にいるときには、絶対に上って行かなかったが、私にはその様子が判然とわかった。

そんな風にして五六日ばかりが過ぎてからであった。西谷が手拭をさげてぶらりと銭湯へ出掛けて行ったので、私は五六日ばかりも見なかった娘の顔を見に、二階へ上って行った。二階にはすると、寝床が敷かれてあって、そこに人形の首は折れていた。そして酷く汚れていた。併し、膠か何かで、以前のように接合せられないことはなかった。私は直ぐその首と胴とを階下の仕事場へ運んだ。

私がそして、その首を作業台の上に置き、胴体の方は、腰から下を台の端から垂らすようにして静かに寝かし、小鍋で膠を溶いていると、そこへ西谷が帰って来た。