Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
」
「いや、それは分らんぞ。君の弟は俺をほったらかして、芳秋蘭の後からつけてったままなんだよ。どうも手も早けりゃ足も早いよ。」
「じゃ、秋蘭は踊場にいたのかい。」と高重は眼を見張った。
「うむ、いた。実は俺も後からつけてみようと思ってたんだが、おさきに君の弟にやられたよ。」
高重と山口はソファーへ並んだ。高重は突き出た淡い口髭の周囲をとがらせながら、黒い顔の中で、一層訝しそうに眉を顰めていった。
「秋蘭が今頃サラセンで踊ってるなんて、それはおかしいぞ。誰かいたか、傍にロシア人でもいなかったか。」
「いたね。一人若い男がついてたよ。」
高重は東洋紡績の工人係りで、芳秋蘭は彼の下に潜んでいる職女であった。その職女が日本人経営の踊場へ来ることに関して、高重の理解し兼ねていることは、早や山口にも分るのであった。
「しかし、いずれ秋蘭だってスパイだろう。どこへだって現れるさ。」と山口はいった。
「ところが、僕の工場には今しきりにロシアの手が這入って来てるのでね。こ奴にはたまらんのだ。いつ爆発するか分らんので、実はひやひやしているのだよ。手先の秋蘭は、どうも戦闘力が激しくってね。