Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
」
「ロシアか、あれは不思議な奴だのう。わしにはあ奴は分らんよ。」
山口はまた立ち上ると、鏡を覗き込みながら、
「どうです。高重さん、いっぱい今夜は?」
「よろしいですとも。」
「それじゃ、一つ。」
山口は好人物の坊主のような円顔を急にてかてか勢い込ませると廊下へ出た。彼はそこで、お杉をひと目と、急がしそうに湯女部屋を覗いてみた。そこにもお杉がいないと、今度は階段を二階の方へ三、四段上ってみて、人気のなさそうな気配を感じると、また浴場の中を覗き廻った。
「駄目、駄目、今日は思惑計画、一切手違いというところだ。」
「何をごそごそそこで狙っているのだ。」と高重はいった。
山口は高重には答えずに、表へ出ようとすると、湯女の静江が這入って来た。彼女は山口を見ると、いきなりぴったりと彼の胸にくっつくように立ちはだかって、早口でいった。
「あのね、今さきお杉さんが首になったのよ。お神さんが嫉きもち焼いて、ほりだしてしまったの。あの子可哀想に、しくしく泣いて出ていったわ。」
「どこへいった?」山口は思わず外へ乗り出した。
「どこへって、それがあの人、行くとこなんかあれば誰も心配しやしないけど、そんなとこなんかないんですもの。