Japanische Klassiker mit Furigana
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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme
と泣いて頼んだ。
まだ色々なことが耳に入ってきた。
――キヌはそんな身体で、無理をして働いた。手が白く、小さくなったものは、百姓家には邪魔ものでしかなかった。――自分で飯の仕度をして、それを並べてしまうと、隅の方に坐って、ジッとしている。皆がたべてしまって余りがあれば、今度はそれを自分でコソコソたべる。――健は矢張り聞いているのがつらかった。
遅くなって、健が伴のところから帰ってくると、母親が顔色をかえていた。
「キヌちゃ首ばつッたとよ!――来てけれッて。」
健はものも云わずに外へ出た。
外へ出ると、「やったな!」と思った。――月の夜だった。キヌとの色々なことが、チラッと頭をかすめて行った。
キヌは納屋で首を縊っていた。健が行くと、提灯をつけたものが七、八人いた。――父親が探がした時、知らずに打ち当ったと云うので、下がっているキヌの身体が眼につかない程ゆるく揺れていた。提灯の火だけでそれを見ていると、寒気がザアーッと身体を走った。
「ハ、ようやく村の恥さらしものに片がつきました……。」
父親が血の気のない顔で云って歩いていた。
健には、キヌの死んだ事が何故か、キヌという一人の人間だけのこと、それだけのことでなく思われた。