Japanische Klassiker mit Furigana
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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme
「そんなことまでやるのか! 畜生奴!」
皆は雨の中を帰って行った。出口で傘をさすと、急に雨の音がやかましくなった。どざだけをかぶって、肩を濡らして行くものもいた。雨に声を取られないように、大きな声でお互に話しながら帰って行った。
阿部、伴、健、荒川、その他小作人三人、組合員二人――これだけが、二日の間に三時間位しか寝らずに、「岸野小作争議団」結成のために馳けずり廻った。ビラを書いたり、謄写版の原紙を書いたり、刷ったりした。――健は始めての色々な経験で興奮していた。
人数が纒って来た。――今迄健が捨石のように廻って歩いていたのが、案外役に立った。
佐々爺や武田は、訪ねて行くと、訳の分らない議論を吹ッかけた。争議団のものが分らないで、つまると、
「そんなんで地主さ楯つけるか?」
と、嘲笑った。
武田が吉本管理人と相談し合って、小作人の切り崩しをやっている噂が入っていた。
荒川が鉄筆で頭をゴシゴシやりながら、
「こうなったら佐々爺とか武田、それに『のべ源』あんなものに気をつけなけア駄目だ。――何んしろ金でやってくるんだからな。」
やもめの勝が、芋と唐黍を子供に背負わせて、伴の家にやってきた。