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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme

Aozora Bunko

汗が上衣まで通って、背の出張ったところ通りの形にグッショリ濡れていた。

「どうしたんだべな。」

「追われて来たんだべよ。――見れ、弱ってる!」

不意に、あまり遠くない処で銃声がした。雑木林から吹き上げられたように、鳥の群が飛び立った。続いて銃声がした。――と、上官らしいのが列外へ出て、何か号令をかけた。ガジャガジャと金具の音が起った。が、皆はどうにもならない程、疲れ切っていた。

「グズグズしちアいかん! グズグズしちアいかん!」

上官がカスれた声で怒鳴った。

「やっぱり兵隊って、ええものだね。――ラッパの音でもきいたら、背中がゾクゾクしてくるからな。」

健の隣りで話している。――「青島」で右手がきかなくなってから、働くことも出来ず、半分乞食のような暮しをしている「在郷軍人」だった。

「戦争だって、考えたり、見たりする程おッかねえもんでねえんだ。ワアッて行けば、何んしろ……」

皆に聞えるように、わざと声を高めた。

兵隊は歩きづらい砂地を、泥人形のような無恰好さで、ザクザク歩き出した。だまりこくって、空虚に眼を前方の一定のところにすえたきり、自分のではない、何か他のものの力で歩かせられているように、歩いていた。