Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme

Aozora Bunko

――これだけが大切なことだ。みんなに、よろしく。

こんな意味のことが書かれていた。――健は飯を食いながら、丁寧にそれをもう一度読み直した。それから、それを持って阿部のところへ出掛けて行った。

八

「百姓嫌になった」

雨が二週間以上も続いた。

初め硝子の管のように太い雨が降った。雷が時々裂けるような音をたてた。――何時も薄暗い家の隅までが、雨明りで明るく見えた。

それが上らず、そのまま長雨になってしまった。皆が当にしていた雲の切れ目も無くなって、飽き飽きする程同じ調子で、三日も四日も続いた。五日目になると、小作はあわて出した。居ても立っても居られない。どこの家でも百姓が軒下に立って、グジョグジョに腐りかけて、水浸りになっている外を見ていた。

「何んて百姓って可哀相なもんだべな。」

佐々爺は東京新聞にも読み飽きてしまった。若いものの邪魔になりながら、ゴロゴロしていた。――「可哀相に、手も足も出ない。――はがゆくって!」

稲が実を結びかけていた大切な時を、雨は二十日間降ってしまった。所々ボツンボツンと散らばっている小作の家は、置き捨てにされた塵芥箱のように意気地なく――気抜けしてしまった。