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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふしょうのあに

不肖の兄

豊島 与志雄

Lesen Sie 不肖の兄 (ふしょうのあに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.889 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

その時の兄の高慢な顔が、黒い齲歯や図太い食慾と一緒に、おかしな云い方だけれど、それが自分の兄であるから猶更、僕は癪に障ってきた。

「そりゃあ、証明しろというなら、してもみせるが、どうせ兄さんには分りゃしないよ。お母さんになら分るかな。ねえ、お母さん、分る……分るんでしょう。」

杯を手にして、お臀でくるりと向き直ると、母は苦々しげに笑っていた。僕は愉快だった。

「ねえお母さん、素裸になってみりゃあ、誰だって清浄な者あいやあしない。例えば浜地だって、あんなに君子然と澄し込んでるが、一皮剥いでみりゃあ、ねえお母さん……。」

母がもじもじしてるのを見て、僕は饒舌り散らすのが面白くなった。僕は母が好きなんだ。

そこで僕はこういう話をした。

或る時彼が、夕食後散歩に出た。薄暗い裏通りを歩いてると、夏のことで、向うの二階の、窓に簾をかけた室の中が、電燈の光に透して見える。その窓際の、机かなんかに、二人の若い女が坐って、せっせと書き物をしていた。往来から見えるのは、肩から上の横顔ばかりだった。それが却って風情だった。彼は何気ない風をして、そこの通りを幾度も往き来した。