Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいぶんがくたいけい58 カフカかいせつ
「世界文学大系58 カフカ」解説
原田 義人
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N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.252 Zeichen · 32 Bildschirme
たしかにこの作品は未完成の度合いが大きく、前述のユイテルスプロートのごときは、この作品が『審判』や『城』の終末と同じように主人公の死で終るべきものであったと断定している。普通、他の二長編に比して明るい諧謔味にあふれた作品と考えられているのとはちがった見解である。カフカは、この作品がディケンズの作風にならったものであることを日記のなかにしるしている。つまり『判決』以後の作風とはあるちがいがあることが感じられるであろう。そういう意味からも、あえて収録した。
この『火夫』は一三年に単独で出版され、一五年にフォンターネ賞というかなり権威ある文学賞を受けた。一四年に、今日では現代ドイツ文学の大作家といわれているローベルト・ムージルが短い書評でこの作品を取り上げて、その意図された素朴さというものを論じ、少年の根源的な善意への衝動というものを描きえている、といっている。そして、このなかの女中の誘惑という短いエピソードに注目して「きわめて意識的な芸術家」を感じ取っている。なお、作中のカルル少年の伯父の姿は、カフカ自身の母方の伯父でスペインで成功した人物の面影を写しているといわれている。