Japanische Klassiker mit Furigana
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しがつばか
世相・競馬
織田 作之助
Lesen Sie 世相・競馬 (しがつばか) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.112 Zeichen · 39 Bildschirme
君、こりゃデマだよ」
「えッ? デマですか。誰が飛ばしたんです」
「俺だよ、俺がこの部屋で飛ばしてやったんだよ。この部屋はデマのオンドコだからね。エヘヘ……」
「オンドコ……?」
「温床だよ」
そう言ってキャッキャッと笑っていた。間もなく私は武田さんの書斎を辞した。
そして、四五日たったある夜、私は大阪の難波の近くの夜店で、武田さんの机の上にあった時計とそっくりの時計を見つけた。千円でも譲らないと言ったあの時計だ。
「これはいくらだ?」
買う気もなくきくと、
「二円五十銭にしときましょう」
「たったの……?」
私は立ったまま尻餅ついていた。
早速買った。いそいそとして買ったのである。そして、その時計を小包にして武田さんに送るという思いつきにソワソワしながら、おそくまで夜店をぶらついていた。私は二円五十銭で買ったが、武田さんのことだから二円ぐらいで神田の夜店あたりで買ったのではないかと思うとキャッキャッとうれしかった。五円札を二つに千切って運転手に渡したという話も、もしかしたら武田さんの飛ばそうとしているデマではないかと思うと、一層ゆかいだった。
帰ってまず手紙を書こうと思った。