Japanische Klassiker mit Furigana
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せそう
世相
織田 作之助
Lesen Sie 世相 (せそう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.089 Zeichen · 64 Bildschirme
昨日出て行った時に較べて、打って変ったように小ざっぱりして、オーバも温かそうだ。靴もはいていた。
「よう」と声を掛けようとすると、横堀も気づいて、にこっと笑って帽子を取った。人々は急に振り向いた。街頭博奕屋がお辞儀をしたので、私を刑事か親分だと思ったのかも知れない。
こそこそ立ち去って雁次郎横丁の焼跡まで来ると、私はおやっと思った。天辰の焼跡にしょんぼり佇んでいる小柄な男は、料理衣こそ着ていないが天辰の主人だと一眼で判り、近づいて挨拶すると、
「やア、一ぺんお会いしたいと思ってました」とお世辞でなくなつかしそうに眼をしょぼつかせて、終戦後のお互いの動静を語り合ったあと、
「――この頃は飲む所もなくてお困りでしょう」と言っていたが、何思ったか急に、「どうです私に随いて来ませんか、一寸面白い家があるんですがね」と誘った。
「面白い家って、怪しい所じゃないだろうね」
「大丈夫ですよ。飲むだけですよ。南でバーをやってた女が焼けだされて、上本町でしもた家を借りて、妹と二人女手だけで内緒の料理屋をやってるんですよ」
「しもた屋で……? ふーん。お伴しましょう」
戎橋から市電に乗り、上本町六丁目で降りるともう黄昏れていた。